理事長あいさつ

独立行政法人教職員支援機構理事長
荒瀬 克己

新学習指導要領は「前文」において、「教育は、教育基本法第1条に定めるとおり、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期すという目的のもと」、第2条の目標を達成しなければならないとした上で、「これからの学校には、こうした教育の目的及び目標の達成を目指しつつ、一人一人の児童が、自分のよさや可能性を認識するとともに、あらゆる他者を価値のある存在として尊重し、多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越え、豊かな人生を切り拓き、持続可能な社会の創り手となることができるようにすることが求められる。このために必要な教育の在り方を具体化するのが、各学校において教育の内容等を組織的かつ計画的に組み立てた教育課程である」と述べています。

これは小学校学習指導要領からの引用ですが、中学校、高等学校では「児童」が「生徒」に替わるだけで内容としては同一であり、幼稚園教育要領においても同じ趣旨が示されています。このことは、特別支援学校においても同様です。

各学校において教育課程を組み立て、「一人一人の児童が、自分のよさや可能性を認識するとともに、あらゆる他者を価値のある存在として尊重し、多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越え、豊かな人生を切り拓き、持続可能な社会の創り手となることができるようにする」ために必要な教育を実践していくのは誰か。

言うまでもなくそれは、各学校の教職員にほかなりません。教職員は、一人一人の子供たちの「いま」と「これから」に必要な資質・能力を養っていくという重要で崇高な営みを担っています。

しかしながら、現在、学校には様々な課題があります。社会の変化に対応することは決して容易でなく、学校における働き方改革も、必ずしも順調に進んでいるとは言えない状況です。

だからといって、子供たち一人一人が幸福に生きるために必要な力を養う学校教育を疎かにすることはできません。学校を、子供たちにとっても、教職員にとっても、魅力的な学びの場であるようにするためには、学校教育に関わる全ての大人が、それぞれの立場から誠実に関与していくことが求められます。

独立行政法人教職員支援機構は、教職員に対する総合的支援を行う全国拠点として、国の教育政策上必要とする研修の効果的な実施や調査研究等を通じ、教職員の資質・能力の向上に寄与する組織です。平成29年の教育公務員特例法等の改正により、独立行政法人教員研修センター(平成13年発足)から名称変更し、組織改編を行い、「養成・採用・研修を通じた体系的かつ総合的支援拠点」として機能強化を図ってきました。

当機構は、本年度から第6期中期目標期間が始まります。引き続き関係各方面のご意見やご援助を仰ぎつつ、「教員の養成・採用・研修に携わる関係諸機関をつなぐネットワークの構築」、「研修の高度化と体系化の促進」、「多様な研修ニーズに対応するコンテンツの開発」の3つを軸として業務を進めていきたいと考えています。

社会が大きく変化する中、また、度重なる自然災害や、新型コロナウイルス感染症の拡大といった経験したことのない状況の中で、子供たちそれぞれが、未来に向けて試行錯誤を重ねています。その伴走者として、これまでの実践の蓄積を振り返りつつ継続的に学び続けていくことが必要とされる教職員を支援するという当機構の責務の重さに、身の引き締まる思いです。

令和3年1月26日に提言された中央教育審議会の「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現~(答申)」には、「一人一人の子供を主語にする学校教育の目指すべき姿」が描かれています。

その実現に向けて、一人一人の教職員が主語になって、やりがいをもって教育活動を進めていけるよう、私たちもまた心を込め、省察を重ね、取り組んでいく所存です。

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