アクティブ・ラーニング研修実践事例

広島県立可部高等学校(平成28年8月)

資質・能力を育成するための年間評価計画を各教科で作成する研修

学校として定めた育成を目指す資質・能力を踏まえ、生徒の学びの質的な変容を捉えるため、具体的にどのような実践をし、どう評価するかということについて、対話を通して検討し、各教科で年間評価計画を作成する研修である。

Ⅰ  実施背景と目的

  • 実施校は、「誠実 努力 友愛」を校訓とし、地域の伝統校として時代の変革を生き抜き、地域社会に貢献できる有為な人材の育成を目指しています。学校として育成を目指す資質・能力を「論理性・自律性・協働力」に整理し、すべての教育活動を通して、3年間で育成を図っています。
  • 週に1回程度教科会を実施し、参観し合った授業から学べることや実践した授業改善の工夫、年間評価計画の改善などについて話し合って共有することで、授業改善の日常化を図るようにしています。
  • 本研修では、カリキュラム・マネジメント研修会を通して、教科横断的な視点で育成を目指す資質・能力を捉え、教科間相互の連携を図れるようにするとともに、各教科で資質・能力の育成を意識した年間評価計画を作成することで、日々の授業改善につながる視点を確認し、教科で共通した実践につなげることがねらいです。
  • 次年度(平成29年度)以降に向けて、学校として定めた育成を目指す資質・能力を踏まえ、生徒の学びの質的な変容を捉えるため、具体的にどのような実践をし、どう評価することが効果的であるかということを試行し、改善に生かすため、対話を通して、各教科で年間評価計画を作成していきます。

Ⅱ  主な流れと時間配分(全120分)

  1. 【全体】研修会の視点について(研究主任)5分
  2. 【全体】カリキュラム・マネジメント研修(県立教育センター)60分
  3. 【全体】目指す資質・能力の確認(研究主任)10分
  4. 【各教科】年間評価計画の作成40分
  5. 【個人】振り返り5分

準備物:年間評価計画表、各教科において育成を目指す資質・能力の整理、審議のまとめ(当時)

Ⅲ  事例のポイント

1  県立教育センターとの連携

(写真1)カリキュラム・マネジメントに関する研修会の様子

実施校が県立教育センターと連携し、指導主事を招聘し、カリキュラム・マネジメントに関する研修会を実施することで、教科横断的な視点で育成を目指す資質・能力を捉え、教科間相互の連携を図っていくことの必要性を全教員で確認します。

2  各教科での協議(年間評価計画の作成)

  • 協議では、各教科でグループをつくり、科目ごとに資質・能力の育成を意識した年間評価計画を作成し、日々の授業改善につながる視点を確認していきます。(写真2)
  • カリキュラム・マネジメントに関する研修会を踏まえ、教科間相互の連携を図れそうなことについても意識して協議します。
(写真2)各教科で年間評価計画について協議している様子

次の3つの留意点を踏まえます。

  • 【焦点化】今年度は第1学年の教科・科目に絞って作成する。
  • 【評価規準の作成】資質・能力の質的な変容が捉えられるように、評価規準を定める。
    例 数学Ⅰ「自分の考えを伝える力」
    評価規準 図、式、グラフなどの数学的な表現を用いて、考え方の根拠を明らかにし、筋道を立てて説明することができる。
  • 【教科間の関連】各教科で協議したことを全体で共有することで、教科間のつながりが捉えられるようにする。

Ⅳ  研修を進める上での参考事項

8月のカリキュラム・マネジメント研修を受け、資質・能力の育成を目指し、各教科で連携できそうなところはないかを教科主任会議で検討したところ、11月の芸術鑑賞会「アンクルトムの小屋の灯に」を通して、「国語科」と「地歴公民科」とが連携した実践をすることで、「協働力」の伸長が図れそうであるという見通しが立ちました。そこで、次のような実践を行いました。

---実践の概要---

  • 【地歴公民科と国語科の連携】地歴公民科と国語科とで連携して、国語科で小説「アンクルトムの小屋」の内容理解を図り、地歴公民科でアメリカの奴隷制度の変遷に関する歴史的な背景をつかむことをねらいとしたワークシートを用い、朝のSHRの時間を4回使って事前学習を行いました。
  • 【地歴公民科】第3学年の世界史研究では、アメリカの奴隷制度が廃止される過程などについて、調査研究したものを生徒がまとめ(写真3)、学校の玄関ホールに作成したまとめを掲示し、全校生徒が内容を見て学べるようにしました。
  • 【芸術科】書道Ⅰで、生徒が芸術鑑賞会の案内板を制作し、芸術鑑賞会当日、ホールの入り口に優秀作品を3点展示し、相互評価をしました。
  • 【放送部】放送部の生徒が「アンクルトムの小屋」のあらすじを朗読し、全校生徒で鑑賞しました。
(写真3)世界史研究において生徒が作成したまとめ

Ⅴ  成果と課題

  • 芸術鑑賞会をきっかけに、各教科のねらいに応じて連携して取り組むことで、まとめの作品や書道作品などの展示や朗読の鑑賞などを通して生徒相互が肯定的に評価し合う姿が見られました。また、作品を仕上げる過程では「史実を踏まえた内容になっているか」、「芸術鑑賞会にふさわしい表現になっているか」などの視点で、対話を通して繰り返し改善する姿も見られ、「協働力」の伸長につながっているととらえています。
  • 今後、評価指標やアンケート調査、行動観察などを組み合わせることで、より信頼性の高い資質・能力の評価について、全校で取り組むことを考えています。

報告者:研修協力員  木野村

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