アクティブ・ラーニング研修実践事例

岐阜大学教育学部附属小学校(平成28年9月)

小グループでの協議と授業記録から、子供の学びを分析する授業研究会

設定した視点に沿って、学んでいる子供の姿を様々な授業記録と照合・分析し、それを、多様な職層の小グループでの協議を通して、学校として願う子供の姿のイメージを共有し、その具現に向かう授業改善につなげることを目指しています。

Ⅰ  実施背景と目的

  • 実施校は、創設以来「人間教育」を教育理念とし、理想の全人格教育を目指して、子供を多様な関わりの中で育てている小学校です。
  • 前回研究の課題を受け、新規の研究の方向性を明確にすることを試みた授業研究会です。具体的には、学習者としての主体をさらに子供たちに委ね、協働的な学びによって新しい価値を創り出していくことを重視しようと考え、その提案された授業に対する協議です。
  • この授業研究会では、設定した視点に沿って、学んでいる子供の姿を様々な授業記録と照合・分析し、それを、多様な職層の小グループでの協議を通して、学校として願う子供の姿のイメージを共有し、その具現に向かう授業改善につなげることを目指しています。

Ⅱ  主な流れと時間配分(全100分)

    • 協議の視点等について確認(研究主任より)5分
    • 協議の視点1:教科の新しい価値に迫る学びを生み出すための状況づくり
    • 協議の視点2:自分の学びの変容を自覚し、次の学びに繋ぐ省察と教師の見届け
  1. 授業を振り返って(教科部、授業者より)5分
  2. 授業に対する質疑(全体で)5分
  3. 協議(①グループ協議40分 ②グループ協議の全体共有15分 ③全体協議10分)
  4. 助言(講師より)10分
  5. 省察(個人で)10分

準備物:学習指導案、授業記録、学習成果物、模造紙、フェルトペン、タブレット端末、プロジェクタ等

Ⅲ  事例のポイント

1  構成を工夫したグループでの協議

実施校では、グループでの協議を取り入れています。授業では、そのグループごとで子供の学習班を担当して見取っています。

【研究主任と授業者がグループ協議に加わる】
  • グループを5・6人程度の規模で構成し、参観者の発言を模造紙に書き記して、子供の学んでいる姿を分析しています。
  • 多様な教科や学年でグループを構成し、学校として願う子供の姿を描く議論を進めています。
  • 授業者と研究主任はグループに所属せず、小グループ協議での疑問等に対応し、解決を図っています。

<グループ協議より>

A先生:試行錯誤していたYくんにとって、導入での教師の製作モデルは有効に作用していたのか?

B先生:製作モデルは、Yくんの「きれいな」という願いに叶うものではなかったのでは?

C先生:Yくんの思考は働いてはいたが、教師や仲間の作品にピンと来るものがなかったようだ。

授業者:製作モデルは、一つの例に過ぎない。今よりも願いを表すには、どういった考え方をしていくとよいかという、解決を図るプロセスを子供に示す意図があった。

A先生:それならば、Yくんが試行錯誤は意味のあるものに見えました。納得しました。

2  授業記録を活用して、具体的な子供の姿で協議

今回は、協議内容を模造紙上で可視化しながら、以下の具体的な授業記録を用意し、子供が学んでいる姿の分析を進めました。

タブレット端末でYくんの製作物をピンチアウトして示す
  • 子供や授業者の発話を整理した記録
  • 子供が振り返りを記述したワークシート
  • タブレット端末による動画・画像記録
  • 板書、参観者自身のメモ

また、授業者があらかじめ用意した、子供の学びの実態をまとめたものを照合し、授業を通して子供の変容を見取っています。

<グループ協議より>

「仲間との関わりが少なく、消極的な取り組み方に見えたYくんには、一体どんな学びがあったのか。」という参観者の疑問に対して、Yくんが振り返りで記述したワークシートや動画を照合してみると、仲間の作品を参考にして羽の付け方を工夫し、そこに没頭している様子が浮かび上がりました。

Ⅳ  研修を進める上での参考事項

  • 全体協議では、グループ協議で作成した模造紙をタブレット端末で撮影し、それをプロジェクタで投影して説明し、広い会議室の中でも視覚的に捉えやすく、共有化を図っています。
  • 会の終了後、それぞれ教科部会を開き、各自のリフレクションシートを基に今後の授業改善の方向性や具体的方途等について決めだしていきます。

Ⅴ  成果と課題(教員の声より)

  • 様々な教科や学年で構成されたグループの協議により、学校として育成したい資質・能力を踏まえた授業改善につながっています。
  • グループごとで共通に見取った子供の具体的な姿をもとに、様々な授業記録や前時までの子供の実態と照合して、変容を捉えたより深い協議が促進されています。
  • 焦点化した協議の視点と豊富なアウトプットにより協議が深まり、より具体的な授業改善の見通しを共有しています。

報告者:研修協力員  各務

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