アクティブ・ラーニング研修実践事例

福岡県内の実践フィールド校(平成28年)

全員の授業改善につなげる対話的な校内研修

模造紙や付箋を使わず、グループ協議の疑問を授業者と共に解決し、参加者全員の授業改善につなげる高等学校における研究授業後の校内研修です。

Ⅰ  実施背景と目的

  • 普通科高等学校です。生徒の80%以上が部活動に加入する文武両道の学校です。
  • 職員数は約60名であり、ここ数年初任者が複数配置され徐々に若返りが進んできましたが、30代後半から40代前半の中堅層がいない年齢構成のため、同校としての文化や授業法の継承が授業改善の鍵でした。また、従来の授業後の協議会は、参観者が意見を言って終わるのみで、参加者全員の授業改善の契機となっていませんでした。
  • 前項の状況から、授業者も参観者も皆、授業改善のヒントを得、明日からの授業改善につなげる主体性を育めるような研修を目指しました。

Ⅱ  主な流れと時間配分全60分

  1. 流れの説明(研修主任)、授業者自評 5分
  2. 教科グループで協議し、ホワイトボードに記入 20分
  3. 全体共有及び授業者に質疑 20分
  4. 授業者コメント、個人でリフレクション 5分
  5. 連携大学教授・県指導主事講評 10分

準備物:ホワイトボード(各グループ1枚)

Ⅲ  事例のポイント

1  グループの疑問を授業者と共に解決

  • グループは教科ごとに分かれました。教員数が多い教科は分割したり、逆に少ない教科は合同でしたりして、協議しやすい平均5~6人のグループにしました。
  • ホワイトボードには、グループ内で意見を出し合い「良かった点」「改善点」「質問」の3項目に分けてまとめました。(右写真)
  • 上記の3項目は、生徒の学びを基に記述していきました。「質問」については、「この活動の意図は何ですか?」といった授業場面のものから、「生徒達がスムーズに自立解決から協働的解決へ進むために、いつからどのような仕掛けをしてきたのか?」といった長いスパンで授業改善を考える視点が示されました。
  • 流れ3の全体共有では、各グループがホワイトボードを使って発表し、「質問」等については、すぐ授業者が回答したり、全体で対話をしたりすることで、疑問点の即時解決に努めました。

2  流行りの模造紙・付箋に頼らない協議とリフレクション

  • 職員の中には、アクティブ・ラーニング型研修以外では業務上使用しない模造紙・付箋について拒否反応を示す者もいるので、可視化・操作化するツールとして使用しませんでした。
  • ただし、ホワイトボードについては、授業中グループワークで使用している教員が多いので、使用していない者にも実体験してもらう意味と、議論の可視化及び全体共有の時の発表補助として使用しました。
  • 授業と同様、協議後は個人に戻ってリフレクションをすることで、各自で自分の授業改善を考える機会となりました。

Ⅳ  研修を進める上での参考事項

  • 研究授業に先立つ第1回の校内研修では、連携大学教授及び県教育センター指導主事による「新たな学び」に係る授業改善等について講義・演習を実施しています。
  • 校内研修のみならず、校内推進チームによる会議は適宜実施しており、「AL通信」配付や職員室内にアクティブ・ラーニング関連書籍コーナー設置等で全教員に情報共有を図っています。

Ⅴ  成果と課題

  • オブザーバーとして参加した他校の研修主任が、自分の学校でも持ち帰って実践してみるなど、多くの教員の主体的・対話的で深い授業改善につながる研修でした。
  • 以前よりも、職員室内で、教科を越えて授業内容や方法、生徒の様子について、話し合う機会が増えました。
  • 専門以外の者から見ると「対話的で深い学び」のように見える生徒の様相や活動でも、教科の専門の者からは「浅い学び」と判断される場合もあり、高等学校段階では学びの見取りが難しくなることが判明しました。

報告者:研修協力員  鬼塚

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