NITSニュース第84号 令和元年5月17日

今、道徳教育が熱い!

文部科学省初等中等教育局 教科調査官 浅見哲也

道徳の教科化という大きな転換を迎えている中で、令和元年、今年もつくば市の教職員支援機構(NITS)では、5月13日から5日間の道徳教育指導者養成研修、いわゆる中央研修が行われました。この研修には、全国から、指導主事、そして高等学校から合わせて134名の先生方が参加されました。
毎年この研修にはたくさんの方が参加されてニーズも高いことから、今年度からはこの中央研修を5月と来年1月の2回に分けて行うことになりました。1月の中央研修には、小中学校の先生方にも参加していただけるようになっています。

さて、道徳とは言っても、その内容は大きく2つに分かれます。一つは全教育活動を通じて行う道徳教育、一つはその要となる道徳の授業ということです。

前者は本来の道徳教育のスタンスではありますが、教科化されたということで道徳教育イコール道徳の授業と考えてしまうと、大変狭い範囲での教育になってしまいます。道徳の授業は週に1回、それ以外の時間は全てが道徳教育と言っても過言ではないくらい道徳の内容に関わる教育活動が日々行われています。

特に高等学校では一般的には道徳の授業がありませんので、日々の教育活動をいかに意図的、計画的に行うのかが大きな鍵となります。「何をやっても道徳教育、何から手をつけたらよいのか分かりにくいのも道徳教育、だからこそ、分かりやすく推進するのが道徳教育」、これが推進するためのキーワードです。校長先生の方針の下に道徳教育推進教師がリーダーシップを発揮して、例えば、校訓や学校教育目標の具現化を図って目指す子供像を設定し、特に関わりのある道徳の内容項目を中心に全教育活動を通じて指導することが大切になります。

さらに、家庭や地域社会を巻き込むためにも、学校としてどのような子供を育てようとしているのか、どのように道徳の授業を行っているのかなど、自校の道徳教育を積極的に発信していくことが「社会に開かれた教育課程」となって協力も得られやすくなっていきます。

後者は道徳の授業になります。正式な名称は「特別の教科 道徳」あるいは「特別の教科である道徳」、そして「道徳科」となりますが、子供たちや保護者、先生方にとって馴染みのある言い方は「道徳」かもしれません。ですので、このメール内では「道徳科の授業」ではなく「道徳の授業」という言葉を使わせていただいております。
こちらについては今まさに全国各地で研修が熱心に行われており、授業の量的確保と質的転換が図られようとしています。「道徳(科)をどうとく(か)?」。今、どのような授業が求められているのでしょうか。「多面的・多角的」「問題解決的な学習」など、道徳が教科化されると注目された言葉がいくつかあります。

しかし、これらの言葉だけが一人歩きしてしまうと、授業にグループでの話合いを取り入れれば多面的・多角的に考えるだろう、導入でめあてを立てれば問題解決的な学習になるだろう、ということになってしまいます。何のためにこのような工夫をするのか、その意図もなく授業を行えば、当然、効果のない形ばかりのものになっていきます。
多面的・多角的に考える。つまりそれは、視野を広げて物事を見ることにつながります。自分の問題として受け止めてその解決に向けて考える、つまりそれは、自分を客観視することにつながります。こうした見方や考え方がよりよく生きるためには大切だからこそ、道徳の授業では道徳性を養うための学習過程において行おうとしているわけです。

5月17日、本日をもって今回の中央研修も終わり、受講された先生方は道徳教育の指導者となって、また全国各地に戻って行きました。指導主事になってまだ2か月にも満たない先生、自覚を伴わないままにつくばに来られた高等学校の先生など、参加された方々にはそれぞれの状況があったと思いますが、この研修を通してつながった全国の仲間との絆をより大きな力に変えて、自信をもってご指導に当たられるよう、これからの益々のご活躍を心より御祈念いたしております。5日間の研修、大変お疲れ様でした!

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