NITSニュース第92号 令和元年7月12日

わが校のカリキュラム・マネジメントの歩みは教職員の成長とともに

千葉大学 特任教授 天笠茂

カリキュラム・マネジメントは、授業をはじめとする学校の営みを教育課程(カリキュラム)で考え実践する思考やスタイルであって、学校改善を促進することを通して教育の成果をめざす考え方であり手法である。 そのカリキュラム・マネジメントについて、ある市の教育委員会主催の教務主任を対象にした研修会に講師として関わりをもった。

研修に際して、簡単なアンケートを実施し、「何をどうすると、わが校のカリキュラム・マネジメントは進むと思われますか。」と尋ねた。 その結果、研修及び研修時間の確保、業務の精選など、それぞれ様々な意見が寄せられた(自由記述として思うところを記してもらった)。 そこには、これからカリキュラム・マネジメントに取り組むにあたって、見落とすことのできない視点が示されており、いくつか取り上げてみたい。

まずは、〈どこからカリキュラム・マネジメントに取り組むか〉について。 この点については、次のような記述がある。

カリキュラム・マネジメントの起点として、計画を作成することから、あるいは、診断・評価することから、それぞれの学校の事情によっていくつか入口があるはずである。 なかには、次の記述のように、学習指導要領改訂によって掲げられた育成をはかる三つの資質・能力をもとに、育てたい資質・能力を明確化させるところから、取組を始めることが考えられる。

もちろん、ここから入ることができれば、それにこしたことはない。 しかし、その先の進行について見通しが立たないとすれば、次の記述のように、わが校が抱える課題の共有から入るのも一つのやり方である。

その上で、記述にはなかったが、学習評価に着目してみてはどうか。 カリキュラム・マネジメントの取り組みとして、学校評価こそ格好の入り口といえないであろうか。検討して欲しいところである。

次に、〈学校改善としてのカリキュラム・マネジメント〉について。 カリキュラム・マネジメントの推進にあたって、校長にリーダーシップを強調する声は少なくない。 その一方、次のように、校長はもとより、教職員全員の大切さを記した記述も見られる。

そのうえで、ミドルにあたる人々の存在と果たすべき役割、及び、それら人材の育成の重視をあげた記述もあり、改めて、カリキュラム・マネジメントの推進にあたって、ミドルリーダーの存在、及び、その育成が鍵を握っていることを指摘した記述に注目したい。

なかでも、“中心教員が講師ができるように”ということに注目したい。 必要に応じて外部に講師を求めることに積極的であって欲しい。と同時に、内部において講師役を務めることのできる人材の育成も重視したい。 カリキュラム・マネジメントは、学校への情報支援をもとに、それぞれの学校の教職員の力量形成に委ねられていることを、そして、その成長とともに歩みがあることを確認しておきたい。

そして、〈カリキュラム・マネジメント力の形成〉について。 カリキュラム・マネジメントは、教職員の力量形成と深く関わり、教育課程への教職員の実践力の幅を広げ豊かにする営みという側面を持っている。 教育課程および、それを組み立て動かす学校の組織についての知識、そして、実践力。 それらをカリキュラム・マネジメント力というならば、カリキュラム・マネジメントへの取り組みは、その力量形成への求めということになる。 記述には、カリキュラム・マネジメントに関わる力量として、まず、学校経営への参加・参画意識が、次のようにある。

カリキュラム・マネジメントは、管理職に限定されたマネジメントのノウハウというものではない。 すべての教職員を対象としており、そのコアとなるのが、学校経営への参加・参画意識である。 学校教育目標に、そして、教育課程に関わる参加・参画意識と姿勢にカリキュラム・マネジメントのポイントがある。 また、全体を俯瞰する力をもつことへの着目も次のようにある。

カリキュラム・マネジメントは、教職員それぞれの学校全体を俯瞰する力によって支えられる。 その意味で、カリキュラム・マネジメントは、一人一人の教職員に対して、自らの学級や担任する子どもの指導にとどまる視野や分担意識を、学校全体に広げる研鑽を求めることになる。 学校教育目標や教育課程を視野に収め、わが校の教育活動全体を見据えて、連携と協働のもとに教育実践に取り組む教職員集団の形成のための手立てとして、カリキュラム・マネジメントがあることを確認しておきたい。

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