NITSニュース第106号 令和元年10月18日

学校における食育の推進~食に関する指導の手引(第二次改訂版)に基づいて~

文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課 食育調査官 清久利和

1 はじめに

文部科学省では、平成29・30年に改訂した学習指導要領を踏まえるとともに、社会の大きな変化に伴う子供の食を取り巻く状況の変化に対応するために、平成31年3月に「食に関する指導の手引」の改訂を約10年ぶりに行いました。

2 食に関する資質・能力を踏まえた指導の目標

学校教育活動全体を通して、学校における食育の推進を図るために、育成を目指す資質・能力として、食に関する指導の目標を明示しました。この目標は、「知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力・人間性等」の三つの資質・能力として整理したものです。各学校では、この目標に基づき、学校教育目標や児童生徒の実態、家庭地域の実情を踏まえて学校の食に関する指導の目標を設定することが重要となります。特に、児童生徒の実態については、各種の調査や教職員の見取り聞き取り等、丁寧に把握することに留意する必要があります。 また、今まであった六つの目標は、「食育の視点」として再整理し、これらの視点を教科等の授業の中で位置付けながら、食に関する指導を行うことを求めています。

3 「食に関する指導に係る全体計画」の作成の必要性と手順・内容

食に関する指導は、校長のリーダーシップの下、全教職員が共通理解し、確実に実施するために、全体計画を作成する必要があります。作成の手順は、まず、児童生徒の実態を把握し、学校の食に関する指導の目標や評価指標を設定します。次に、教科等横断的な視点で、どの教科等でいつ、誰がどのように指導を行うのか、日常の給食指導ではどのように行うのか、肥満などの個別指導等をどう行うのかを計画します。また、食育推進組織や地場産物活用、家庭・地域等との連携や、評価をどうするかについても計画していきます。今回は、全体計画を全体計画①と全体計画②の二つに分けて例示しました。全体計画①では、目標や組織、家庭・地域との連携や評価など、学校として食に関する指導の基本的な在り方を示す内容について記載し、全体計画②では、教科等横断的な視点で、月ごとに、1年間の流れの中に指導内容を簡単に記載していくように示しました。

4 食に関する指導内容の三体系

三体系とは、「教科等における食に関する指導」「給食の時間における食に関する指導」「個別的な相談指導」です。それぞれの内容とともに、担任と栄養教諭等の役割についても記載しています。「教科等における食に関する指導」では、各教科等の特質に応じた見方・考え方を働かせて、資質・能力を育成するという目標を達成することを第一義とし、その上で食育の視点を位置付けていきます。「給食の時間における食に関する指導」では、食の準備から片付けまでの一連の指導を行います。また、学校給食の献立を通じて、食品の産地や栄養的な特徴に関する内容などを指導します。「個別的な相談指導」では、栄養教諭が栄養学等の専門知識に基づき中心となって取り組んでいきます。食に関する指導を実施するために栄養教諭を中核とした校内体制を整え、組織的に対応していくことが大切です。

5 食育の推進に対する評価

食育の推進に対する評価は、子供や子供を取り巻く環境の変化の評価と活動(実施)状況の評価とに分類できます。一つは、成果指標(アウトカム)の評価といって、全体計画の作成時に設定した評価指標の目標値を基準として取組による変化を評価します。もう一つは活動指標(アウトプット)の評価といい、学校における食育の取組状況等に対して評価します。成果指標(アウトカム)と活動指標(アウトプット)の両方を設定し、次の食育計画の改善を目的として、総合的な評価につなげることが重要です。

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