NITSニュース第142号 令和2年9月11日

主体性ある学校づくりを実現する学校財務マネジメント

愛知教育大学教育学部教育支援専門職養成課程 教育ガバナンス講座 風岡治

学校経営ビジョンを実現し、創意工夫を活かした特色ある学校づくりを展開しようとすれば、学校の意向や教育計画が予算に反映されなければなりません。 そのための学校財務運営の主体性が問われることとなります。 その意味では、学校財務は「学校経営活動の財政的表現」といえます。

今次の学習指導要領でも求められているように、学校の特色ある教育活動の柱となる、社会に開かれた教育課程をいかに編成し、実施、評価していくか、カリキュラムマネジメントがきわめて重要な課題となっています。 カリキュラムマネジメントによる学校改善を進めるには、教育の中身と教育の方法と、そして人、もの、予算、情報、組織運営といった経営資源を一体的に視野におさめて、運用・展開していく発想と具体的な手法の開発が必要となります。

学校財務マネジメントは、予算・財務面から学校のマネジメントを支えるための条件整備について、校内での財務運営のあり方や公費・私費の負担区分、財務を通じた学校経営ビジョンの実現にむけたプロセスを焦点化したものといえます。 学校財務を学校マネジメントに含まれるものとして、全体を動かしていく中で、その資源である予算をどういった形で展開していくか、財務をつかさどる学校事務職員と管理職や教員を巻き込んで行うプロセスであり、スキルであり、実践といえます。

学校財務マネジメントでは、学校事務職員と管理職や教員との協働が不可欠であり、そのプロセスでは、コミュニケーションを活性化しなくてはいけないし、コンフリクトが生まれることもあります。 そういったコミュニケーションやコンフリクトのプロセスや成果を持ち寄ることで、管理職や教員、学校事務職員のマネジメントに関する力量形成を図り、学校マネジメントにも活かされることが求められます。

しかし、管理職や教員には、学校の予算・財務が見えない、わからない、あるいは意識をしていないというのが一般的でないでしょうか。 学校の予算に関わるのは、副校長・教頭になってからという状況にある管理職、教員も少なくないでしょう。 とりわけ副校長・教頭は、学校財務の法的根拠や業務プロセスの煩雑さ、学校事務職員との分担・協働などに不安や戸惑いを覚え、学校財務に苦手意識を持っている方も多いのではないでしょうか。 実際に、校長、教頭・副校長、事務職員によって、学校財務マネジメントに求められる役割や権限、必要となるマネジメントスキルも異なってくることから、それぞれが、どのようにリーダーシップを発揮していくのかは、財務マネジメントの課題のひとつといえます。

学校経営ビジョンの策定やビジョン実現の手段として、予算・財務への認識をもった校長のリーダーシップのもと、予算・財務に関する専門性を発揮し、教職員との協働を重視し、教育活動と結びついた予算の編成・執行や、教育課程の実施に必要な教材・教具・備品の整備など、学校財務を中心とした条件整備の取組を果たす学校事務職員の役割、予算・財務への認識と教育課程との繋がり、教職員の財務意識の醸成、学校事務職員との分担・協働にリーダーシップを発揮する教頭の役割、こうした学校財務におけるリーダーシップが、学校財務マネジメントを機能させるカギとなり、学校財務を通したチーム学校の実現にもつながると考えます。

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