NITSニュース第151号 令和2年11月13日

生徒指導の推進

日本大学文理学部 教授 藤平敦

生徒指導とは、読んで字のごとく、「生徒」(児童も含む)への指導はすべて生徒指導であると言っても過言ではありません。 学校教育の中で最も時間を費やしている学習指導においても、生徒指導の観点がたくさん含まれています。 具体的には、授業規律面のみならず、児童生徒の学習意欲を引き出すような働きかけは、学習指導の場面であっても、それは生徒指導であるとも言えます。

改訂された「学習指導要領」では、新しい時代に必要となる(児童生徒の)資質・能力の育成として三つの柱が示されていますが、そのうちの一つである「(学びを人生や社会に生かそうとするための)学びに向かう力・人間性等の涵養」は、まさしく、学習指導の場における生徒指導の働きかけによるものであると言えます。

学習指導の場面で、児童生徒の学習意欲を育もうとすることは、教壇に立たれている教員であれば、日々、当たり前のこととして行っていることでしょう。 しかし、それを、あえて生徒指導の働きかけであると意識して行うことが大切です。 なぜなら、このように意識することで、「生徒指導は課題を抱えている児童生徒のみへの対応だけではない」→「生徒指導は在籍しているすべての児童生徒を対象にしているものである」→「本来の生徒指導の意義に近づく」→「生徒指導は担当者のみが行うことではない」→「“生徒指導は学習指導の場面も含めて、教職員全員で行うものである”」というように、生徒指導に対する考え方の転換につながります。 このことは、一般的に抱かれている生徒指導に対するネガティブなイメージからも脱却でき、教職員の生徒指導に対する負担感の減少にも結びつくことです。

なお、改訂された(小・中・高等学校)「学習指導要領」の総則にも、新たに「“学習指導と関連付けながら、生徒指導の充実を図ること”」と明記されています。

また、 「学習指導要領」の生徒指導版とも言える『生徒指導提要』(文部科学省/平成22年3月)では、教育課程における生徒指導の位置づけを明確にしています。 それによると、「児童生徒にとって、学校生活の中心は授業」であり、彼ら一人一人に「楽しくわかる授業を実感させることは教員に課せられた重要な責務」であると明記されています。 ここに、学習指導における生徒指導の原点があります。 このように、学習指導の場において、生徒指導を充実させることは、児童生徒一人一人の学習意欲の向上とともに、学力向上にもつながる可能性が高まります。

ただし、大切なことは、このように学習指導の場において生徒指導を充実させることの必要性を、各地域や学校が如何に推進していくのかだと思います。

沖縄県教育委員会では、各中学校の教務主任や研究主任、又は授業改善リーダー等、“学習指導の中核的なリーダーである教員が中心となって”、学びの質を高める授業改善・学校改善を、“生徒指導の視点を踏まえて取り組む”「学力向上推進5カ年プラン・プロジェクト」を令和2年度より推進しています。

本プロジェクトはまさしく「生徒指導は学習指導の場面も含めて、教職員全員で行うものである」に結びつくことであり、今後も注目に値する取組の一つです。

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