NITSニュース第160号 令和3年1月29日

情報社会に主体的に参画する態度を育む指導

静岡大学 准教授 塩田真吾

情報社会に主体的に参画する態度とは、情報社会を共に創っていこうとする態度のことですが、その根幹となるのは自助、つまり子どもたち自身にリスク回避の力を育てていくことになります。

情報モラルとは、「情報社会で適正な活動を行うための基になる考え方と態度」と定義されていますが、ここで誤解を招きやすいのが「情報モラル」というネーミングです。 情報モラルには、いわゆる倫理的なモラル教育の側面と、リスク回避的なリスク教育の側面があると言われますが、「情報モラル」というネーミングからは「倫理的なモラル教育」の側面のみが喚起されやすくなります。 しかし、情報活用能力に含まれる情報モラルという文脈で考えれば、むしろリスク回避というリスク教育の側面の方が身につけるべき内容としては重要となります。

今後、GIGAスクール構想によって、1人1台端末環境での学習が広がっていく中、導入時期ではトラブルも想定されます。 例えば、IDやパスワードをきちんと管理できるか、タブレットを破損しないで使えるかといった基礎的なことから、テキストコミュニケーションの増加によるトラブルや著作権のトラブル、そして長時間利用と様々なトラブルが懸念されます。

これらのトラブルの発生を抑制し、子どもたち自身にリスク回避の力を育てていくためには当然情報モラル教育が重要ですが、「どの時間でやるのか」が大きな課題となります。 なかなか情報モラルだけに授業時間を割くことが難しい状況で、様々な内容を扱った情報モラルの授業を実施することは難しいでしょう。

そこでポイントとなるのが、カリキュラム・マネジメントの視点です。 丸々1コマを使って情報モラルを教えるだけではなく、教科教育の際に情報モラルをセットで教えていく方法です。 例えば、ある中学校では、教科教育の中に少しずつ情報モラル教育を入れて実践しています。 国語ではテキストコミュニケーションを、社会ではフェイクニュースを、保健体育では長時間利用を、音楽では著作権を扱うなど、カリキュラム・マネジメントの視点で情報モラル教育を進めています。

さらに、特に注意したいのが長時間利用です。 筆者が、重大性と発生率の両軸からリスクを評価したところ、現在どの学校種においても最も発生率が高く、深刻度も高いトラブルは「長時間利用」でした。

そもそもネットの長時間利用は、ネットの利用時間だけでは決めることができません。 よく「何時間ネットを使っていたら使いすぎですか?」という質問が寄せられますが、ネットの使いすぎは時間だけでは一概に言えず、「勉強や生活のやるべきことをやらずに、ネットやゲームをしてしまい、自分でコントロールできない状態」を使いすぎと定義します。 つまり、長時間利用に気をつけるためには、ネットやゲームの利用時間だけでなく、24時間全体の生活とネット・ゲームのバランスを考える必要があり、その時間を管理する力である「タイムマネジメントの力」の育成がポイントになります。

「気をつけなさい」という指導に終わらず、例えばタイムマネジメントなどのスキルを身につけさせることも、情報モラル教育では重要となります。

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