NITSニュース第6号 平成29年7月28日

「学校経営=スクール・マネジメント」概念の拡大と深化 -二つのマネジメント研修をつなぐ-

独立行政法人教職員支援機構 理事長 髙岡信也

教職員支援機構が実施する研修事業は,大きく二つに大別されます。一つは,現に管理職や指導主事の立場にある,あるいは将来それらの職に就くことが期待される教職員を対象とした「中央研修」。二つ目は,研修指導者の育成を目的とした「指導者養成研修」です。

各都道府県の幹部職員とその候補者を対象とした「中央研修」の中心的テーマは,「学校経営に関する理論の理解と実践力の育成」にあります。このテーマ設定は,平成16年頃から始まり現在に至る長い歴史を有しており,当時,「管理から経営へ」という方向転換が行政,大学,学会を問わず,学校運営に関する新しい動向として意識された成果でした。

ここでいう学校経営=スクール・マネジメントとは,学校を(教育を専らとする)組織体と捉え,その経営のあり方を考えることであり,関係者の間で共有された認識は,「上意下達意識の強い学校管理論」へのアンチテーゼという側面と,教員個々人の職人気質に依拠したある種の「学級王国論」の限界への挑戦という側面を持っていたように思います。

旧教員研修センターのプログラムを見ると,十数年前から,民間の経営者や経営論の専門家などを講師に招き,何とか,企業経営に蓄積された知見を学びたいという意欲に溢れていました。しかし残念なことに,研修に導入すればするほど「企業と学校は違う」という違和感も一方で醸成され,必ずしも所期の成果が上がらなかったことも事実です。

一方,近年,カリキュラム・マネジメントという言葉が注目されています。文字通り,「カリキュラムをマネジメントする」ということですが,新学習指導要領のキーワードとして特段に強調されたことで,改めてその内容に注目が集まっています。当機構で実施している「カリキュラム・マネジメント指導者養成研修」の受講者数も増加しています。

スクール・マネジメントが学校という組織をマネジメントするという広い概念だとすると,カリキュラム・マネジメントは,その下位概念。構成員が協働してめざす学校運営改善の取り組みをスクール・マネジメントと理解すると,より具体的な取り組みとして,カリキュラム・マネジメントが課題となる。二つの概念間の関係はそう理解してよいでしょう。特に実践の場においては両者は密接な関係にあるはずです。

そうであれば,この「二つの概念や実践的課題を学ぶあるいは研修する」際,ほぼ同時に,この両者の関係や実践的課題に対応するプログラムが提供される必要があります。

十数年の時を経て,学校の「組織経営」論として語られてきたスクール・マネジメント論に,日々の教育実践の指針としてのカリキュラム・マネジメント論が接続され,あるいは主要な領域として埋め込まれる時代がやってきたということではないでしょうか。

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